謝辞

謝辞

歌うこと、それは、わたしにとって、もっとも愛おしい行為である。作曲をしたり、教えることもまた喜びのひとつだ。これらの行為は、間接的に、歌うことの一部をなすフォームであるからだ。とはいえ、演奏行為について話したり、語ったりする必要に迫られたときに、自身が歌っているときに得る、音楽体験のすべてを言葉にすることの、いかに困難なことかということに気づかされる。


インド古典音楽の演奏の場のグローバル化、インド古典音楽に対する国際的関心の高まる中、この音楽が、どのように伝わり、演奏されてきたのか、何が伝統として守られ、何が時代の流れにより変化したのか、わたしたちは、常に意識的に見直し、伝えていかなければならない。

このようなわたしの責任意識が、リスナーとコミュニケーションをとるための手段としての、彼らに向けた本 – 難しい専門用語を多用せず、理論的、および歴史背景などの情報のボリュームを控えた、学術書とは違った本を執筆したい、という希望と結びついた。

「Enlightening The Listener」 は、2000年に初版が出版された。これまでの15年の間に、わたしの音楽に対する見方や考え方は変化した。現在のわたしの考え、言葉で、もう一度リスナーとコミュニケーションを図りたい、そして本著の内容も、見直す必要があると思った。

本著を美しく彩ってくれただけでなく、内容をより意味深く、理解しやすいものにしてくれた、画家でイラストレーターのシュリ・ラヴィ・パランジャペ氏、そしてその弟子のシュリ・ラフル・デシュパンデ氏に感謝の意を述べたい。

わたしの音が、どのように言葉と結びつくのか、自分でもわからない。わたしは詩人ではないからだ。言葉を紡ぐ行為、それはわたしにとって、音楽表現の延長線上にただあるだけである。わたしのマラーティー語で書かれた詩を英訳してくれた、プロフェッサー・スシーラ・アンビケ氏にも大きな感謝の意を述べたい。言語化された音楽的思考をまたさらに別言語に翻訳することがどれほどに困難か、想像に難くない。プロフェッサー・アンビケ氏の英訳は、その本質を捉えるだけでなく、そこに新鮮味、多様性も加味してくれた。

本著に添付されたオーディオCDのすべての録音、編集をになってくれた、甥のスダヌワ・ボダス、いっさいの音声デモンストレーションをおこなった弟子のチェトナ・バナワットにも、謝意を表する。

わたしの詞を詩的に英訳してくれ、スクリプト編集にも大きく貢献してくれた、アメリカ・シラキュース大学の教授であり、わたしの生徒でもある、タジム・カッサム女史、本著編纂における、すべての責任をにない、遂行してくれた、最も親愛なる友人、ドクター・バラーティー・M.D、彼らにわたしの持ちうるすべての感謝の意を捧げたい。

本著再編版を、美しく仕上げてくれた、M/s.B.R.Rhythms社にも、ここに感謝を述べる。

 

2016年 4月8日 

ムンバイー

ドクター.・プラバー ・アトレ


                                  

◆このページの内容は全て、Dr.Prabha Atre著 「Enlightening the Listener」からの翻訳です。

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