トゥムリー、ダードラー以外のバラエティ
トゥムリーとダードラーは、テーマ、言葉の内容、表現の面で、インド国内のさまざまな地域で発展してきた、フォークミュージックと強い親和性をもっている。そのため、多くのフォークミュージックはトゥムリー、ダードラースタイルに適合しており、そのテーマ性によって、チャイティ、カジャリ、サーヴァニ、ジューラー、バサンティ、ホーリー、バラマーシなどと呼ばれる。
チャイティはチャイトゥの月(ヒンドゥー暦3~4月)に歌われ、サーヴァニはサーヴァンの月(ヒンドゥー暦7~8月)、ジューラー(訳注:ジューラーはブランコの意味。雨季の良い季節にブランコに乗る、と言うような表現で雨季がテーマのライトクラシカルの中でよく用いられるため、ジューラーというカテゴリーがある)、カジャリは雨季について、バサンティは新緑が芽吹く季節を指し、ホーリーは、春祭りで色水をふりかける様を指し、バラマーシは、一年の中巡るすべての季節が一曲の中で歌われる。
チャイティ(ガート:ダードラー)
ラーグ:ミシュラ マーンジ カマージ
タール:ドゥルット ディープチャンディ
歌詞
スターイ
chaitara maase saba mila gaaye
チャイタラ マーセ サバ ミラ ガーエ
jhoolaa jhoolata ho raamaa||
ジューラー ジューラタ ホ ラーマー
アンタラー
chaitara ranga mein chaitara ghanda mein
チャイタラ ランガ メイン チャイタラ ガンダ メイン
chaitara naache ho raama ||1||*
チャイタラ ナーチェ ホ ラーマ
日本語:スターイ:チャイトゥラの月には 誰もが集い 歌い、ブランコを揺らす おおラーマ
アンタラー:色いっぱいの チャイトゥラの月には 香りが舞うよ おおラーマ!
*チャイトゥラとは、木々が芽吹く、収穫の季節。ヒンドゥー暦の3~4月。
ここでのラーマとは感嘆符として使われており、ロード・ラーマへの言及ではない。
カジャリ / サーヴァニ / ジューラー(ガート:ダードラー)
ラーグ:ミシュラ マルハール
タール:ドゥルット ディープチャンディ
歌詞
スターイ
aaee rhutu saavana ki piyaa ghara naahi
アーイー リトゥ サーヴァナ キ ピヤー ガーラ ナーヒ
jhoolaa jhoole ambuvaa ri, mana moraa dukhiyaari
ジューラー ジューレ アンブワー リ、 マナ モラー ドゥキヤーリ
piyaa ghara naahi ||
ピヤー ガラ ナーヒ
アンタラー
ghaeri aayi badaraa ri, bijuriyaa chamake ri
ガエリ アーイ バダラー リ、ビジュリヤー チャマケ リ
kaise dharoon dheeraja ri, piyaa ghara naahi ||1||*
ケーセー ダルーン ディーラジャ リ、ピヤー ガラ ナーヒ
日本語訳:スターイ:雨季の季節がやってきた なのにあの人は戻らない マンゴーの樹のブランコに揺れる なのにわたしの心は悲しみでいっぱい
アンタラー:雨雲がもくもく集まって 稲光が光っている あとどのくらい耐えなくてはならないの? あの人はうちに戻らない
ホーリー(ガート:ダードラー)
ラーグ:ミシュラ ピルー
タール:ドゥルット ケヘルワー
歌詞
スターイ
ranga daaro naar daaro mope saavariyaa
ランガ ダーロ ナー ダーロ モペ サーヴァリヤー
mohe jaane de bhayee main to baavariyaa ||
モヘ ジャーネ デ バーイー メイン ト バーヴァリヤー
アンタラー
bheegi saari chunara mori kesariyaa
ベーギ サーリ チュナラ モリ ケサリヤー
mohe dekhe braja ki saba naariyaa
モヘ デケ ブラジャ キ サバ ナーリヤー
mohe baari umar chodo gaagariyaa ||1||
モヘ バーリ ウマール チョド ガーガリヤー
日本語:スターイ:愛するあなた どうかわたしに色粉を振りかけないで わたしは恥ずかしがり屋なの 放っておいてちょうだい!
アンタラー:わたしの服はサフラン色に濡れてしまった ブラジにいるゴーピーのみんながわたしを見てるわ わたしはまだほんの小娘 愛するあなた わたしの水瓶から離れてちょうだい
all audio guidance by Chetna Banawat
◆このページの内容は全て、Dr.Prabha Atre著 「Enlightening the Listener」からの翻訳です。